3月29日(土)14:00~15:30
令和6年度 春 【 第14回 暮らしの和文化セミナー 】 を開催いたしました
テーマは『草木染と織の世界”その魅力 』
桜がほころび始めた京都・国際交流会館には、
HITOTOKI始まって以来のたくさんの現地参加の皆様にお越しいただき、高揚した空気の中セミナーが始まりました。
志村昌司様は、“紬織”の人間国宝 志村ふくみ様のお孫さんにあたります。
昨年100歳をお迎えになった志村ふくみ様や、お母様の洋子様の芸術精神を継承する染織ブランド・アトリエシムラの代表であり、芸術学校・アルスシムラの特別講師を務める傍ら、展覧会の企画や講演、文筆活動を通して「染」と「織」の奥深い世界をご紹介されています。
そんな志村様に、今回は
1 草木染め
2 心象風景を織る
3 美と祈り
という流れでお話を伺いました。
会場には、草木染による艶やかな生糸をお持ちいただき
その多彩で奥深い発色の美しさには驚きました。
「染める」とは、
草木の中に眠る“いのち”を移しとる作業なのだとのお話に
改めて自然界が放つ無限の「色」は「いのち」の美しさ、尊さなんだと感じました。
講義の冒頭のVTRでは、志村ふくみ様や洋子様が
糸を染める工程で、染料に生糸をくぐらせ、
それが酸素に触れると鮮やかに発色し始める様子に、
「自然界の宇宙的な神秘、科学以上の科学を感じずにはおれない」とも語られており、
“染め”という行為そのものが
目に見えないところからの“メッセージ”を受け取る行為にも思えました。
古代から続く草木染・染色が
現代を生きる私たちにとってどういう意味を持ち、どんな役割を担うのか・・・そんな問いかけを探求しながら継承されている昌司様のお話は、
歴史的な観点や、文化人類的な側面から・・と奥深く
どんどん引き込まれていきました。
また、「織り」については
志村ふくみ様の作品は、「心象風景」心の内面を時間をかけて織り込む行為なのだと解説いただきました。
遠き日の柳さんとのエピソードにも触れながら
ふくみ様の想いや、独自の表現方法にたどりつかれたお話はとても興味深く、以前よりもっとふくみ様のお人柄を近しく感じる機会にもなりました。
多くの人を魅了する作品には、ふくみ様の心の中にある風景と
どこか自分の懐かしい記憶が重なるからなのだということも教えていただき
心の霧が晴れるようなひとときにもなりました。
「染め」と「織り」を両方なさっている
志村ふくみ様・洋子様ならではの悟りに近い想いと
その想いを様々な観点から分析し解説してくださる昌司様のお話によって
“草木染と織の世界”その魅力に触れることができた、とても心豊かなひとときでした。
志村昌司様、貴重なお話しありがとうございました。
【NEWS】
・4月12日「アトリエシムラgallery&school東京・世田谷」をOPENされました。
東京方面の方に朗報です!展覧会や催し、書籍・グッズやschool情報も掲載されていますのでチェックなさってください。
https://www.atelier-shimura.jp/
【次回のご案内】
第15回 HITOTOKI 暮らしの和文化セミナーは、「アーカイブ」配信のみになります。
・日程 8月中旬予定
・タイトル 「“麹”発酵の文化とその魅力=甘酒=」
・講師 大村智則氏 (コラゾン代表)
歴史的な背景を絡めたお話と、「麹菌」の神秘的な可能性。解き明かされてきた「甘酒」の効能や楽しみ方の魅力。試飲含めお楽しみいただきます。